福島物語 Ⅳ

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 三脚を立てて待っていたら犬を連れた老人が話しかけてきた。
「今年はうさぎが出るのが早いね。」
「雪が少なかったからね。」
 彼はポケットから携帯を取り出した。
山がきれいなので写してほしいと。
使い方がよくわからなかったけど見よう見まねで1枚。
 聞けば飯舘村から避難しているのだという。
犬も一緒に。
明るい人で身体も丈夫そうだ。
「までい」な暮らしをしてきたのだろう。
 早く戻れる日が来れば、とは言えなかった。
どんな境遇かわからないから軽々しいことは。
 祈り。
吾妻もいいけど穏やかな阿武隈の山並みに囲まれる日々が来ることを。
 今年も雪うさぎが信達盆地を見下ろす。
風が暖かくなった。
花も咲く。


LOVE TOHOKU.
LOVE FUKUSHIMA.
までい : ていねいに 心をこめて じっくりと

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